1.ラットの皮下な細菌や化学的刺激物質を注入して実験的炎症モデルを作成し形態学的に検討したところ、テレピン油で作成した炎症モデルは、急性炎症から種々の度合いの慢性炎症の組織学的特徴を示し、今後の一連の実験に最適であると判断された。 2.テレピン油注入後4日目の炎症モデルを用いた体内分布実験で、経済的に^<18>F-FDGの取り込み変化を検討したところ、投与後から次第に増加し1時間後に最大を示すパターンを示した。次に、炎症作成後の取り込み変化を検討したところ、炎症作成直後の1日目よりも4日目で最大の取り込みが認められた。組織学的に、炎症作成1日目は急性炎症の特徴を示し、4日目は慢性炎症の特徴の度合いを強めたものであり、以上の体内分布実験から、炎症組織では、積極的に糖を取り込み、その代謝は急性期より慢性期で活発であると結論された。 3.炎症作成後4日目の炎症組織で、どの部位に^<18>F-FDGが集積するかを形態学的にマクロオートラジオグラフィーで検討した。^<18>F-FDGは、膿瘍中心部には殆ど集まらず、膿瘍中心部の周囲を取り巻く厚い層のより内側にもっとも高い集積が認められた。この部位では、好中球やマクロファージの炎症細胞、血管上皮細胞、若い繊維芽細胞が数多く見られ、^<18>F-FDGは、それらの活動・増殖の為のエネルギー源として使われたものと推測された。 今後、炎症組織での^<18>F-FDGの取り込みを更にミクロのレベルで調べ、又、炎症構成因子や他の因子との関係を調べる予定である。
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