1.^<18>FDGの炎症組織への取り込みを体内分布で調べた。ラットにテレピン油を注入して作成した炎症組織では、^<18>FDG注射1時間後に最大を示す取り込みパターンを示し、急性期より慢性期で多く取り込まれた。 2.マクロ及びミクロオートラジオグラフィー(ARG)により炎症構成因子と^<18>FDG集積との関係を形態学的に調べた。マクロARGでは、膿瘍壁の内側に最も高い集積が認められた。ミクロARGでは、膿瘍壁内側の好中球やマクロファージの炎症細胞、血管上皮細胞、若い繊維芽細胞が多く存在する境界層で^<18>FDGが最も多く取り込まれた。^<18>FDGは血流に乗じて炎症組織に運ばれ、透過性の亢進した血管から外に漏れだし、炎症細胞、繊維芽細胞、血管上皮細胞に取り込まれ、それらの活動のエネルギー源として消費されたものと思われる。他因子として血管透過性と血糖値について調べた。血管透過性の指標である^<131>Iヒト血清アルブミンとの二重標識体内分布では、^<18>FDGの炎症組織への取り込みは、血管透過性に大きく依存する結果が得られた。糖負荷の高血糖群とインシュリン投与の低血糖群の炎症組織での^<18>FDG量は、正常血糖群に比して低下し、血糖値や糖代謝関係のホルモンの影響を複雑に反映した結果となった。 3.顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与群での炎症組織、脾臓、骨での^<18>FDGの取り込みは、非投与群に比し優位に高い値を示した。G-CSFのサイトカインとしての機能・作用を直接反映したものと推察された。 4.^<67>Gaクエン酸と^<18>FDGの二重標識体内分布では、炎症作成後4日目の慢性期で共に最大の取り込みを示した。しかし、二重標識マクロARGでは、^<67>Gaクエン酸は膿瘍中心部を取り囲む膿瘍壁の外側に、^<18>FDGは膿瘍壁の内側に最も高く取り込まれた。
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