骨軟部悪性腫瘍患者に化学療法治療前と治療後にTl-201シンチグラフィを施行し治療効果の判定を試みた。現在までに骨肉腫3例、悪性線維性組織球腫4例、滑膜細胞肉腫1例、悪性神経鞘腫1例、転移性骨腫瘍2例の11例に施行している。 Tl-201シンチグラフィは111MBq静脈注射し15分後に悪性病巣と対側の健常領域に関心領域を設定しTl-201の集積化を測定し検討した。化学療法はアドリアマイシン、シスプラチン、カフェインを動脈注射し行われた。治療前と3ないし5ク-ルの治療後のTl-201の集積比の結果を解析し治療効果の判定について検討しているが、治療後にTl-201の腫瘍と健常部の集積比が減少しているものは治療効果が大きい傾向がみられている。とくに、完全寛解の症例に減少率が高い。しかし、治療効果に関する最終的な病理的変化の確認されていない症例があるので正確な判定には時間を要する。当初予定していたTl-201SPECT法は数例に試みたが四肢末梢部病巣の診断には不向きであることが判明した。また、治療効果の初期予測は頻回な検査が行えず検討することができなかった。原発性の骨・軟部腫瘍患者も予想していたほど多くはなかった。臨床例の蓄積検討には1年間では十分な成果は得られなかったがTl-201の骨軟部悪性腫瘍の化学療法による治療効果判定の有用性を示せたことは意義があったと思う。
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