研究課題/領域番号 |
06670919
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
玉木 長良 京都大学, 医学部, 講師 (30171888)
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研究分担者 |
間賀田 泰寛 京都大学, 医学部, 助手 (20209399)
野原 隆司 京都大学, 医学部, 助手 (80180769)
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キーワード | ポジトロンエミッショントモグラフィー / C-11酢酸 / F-18フルオロデオキシグルコース / 虚血性心疾患 / 心筋代謝 |
研究概要 |
健常心筋では脂肪酸のβ酸化が主なエネルギー源であるのに対し、虚血心筋では脂肪酸代謝からブドウ糖代謝にスイッチされることが知られている。虚血心筋でも高度に虚血に至った領域では酸素を用いない嫌気的糖代謝が主になる。ポジトロン断層法(PET)を用いれば心筋局所のエネルギー代謝を非侵襲的に測定し、画像化することが可能である。そこで本研究ではまずF-18 fluorodexyglucose(FDG)を用いて心筋への集積からブドウ糖代謝をまたC-11酢酸を用いて心筋からの洗い出しから酸素代謝を各々計測した。健常心筋では食後で血糖値が上昇した時にはブドウ糖代謝が保たれ、かつ酸素代謝も維持されていた。血流の低下した領域ではブドウ糖代謝も酸素代謝も抑制されたが、血流の低下に比べてやや維持されている傾向が強く、血流と代謝のミスマッチを呈した領域も認められ、虚血心筋の存在が強く示唆された。一方梗塞に陥った領域では代謝も血流の同様に低下していた。血流と代謝とを対比した所、血流が正常の45%以下と高度に血流の低下した領域ではブドウ糖代謝も酸素代謝も著明に低下し、ミスマッチは認められなかった。すなわち心筋の代謝を維持するにはある程度の残存血流が必要と考えられた。さらには虚血領域を詳細に検討した所、ブドウ糖代謝が維持された領域の一部に酸素代謝の著明に低下した領域が散見され、嫌気的糖代謝の存在が示唆されたが、このような心筋は全体として少なかった。このようにFDGとC-11酢酸を併用したPET検査は、虚血心筋の病態の詳細な把握に有用であると考えられた。嫌気的糖代謝を示した領域が果たして可逆的虚血心筋であるのかは、今後多くの症例を検討して行く必要があると考えられた。
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