研究概要 |
頭頸部扁平上皮癌40例において、治療前ならびに4Gy照射時、10Gy照射時および20Gy照射時に癌組織の一部を採取し、液体窒素中に超低温保存し、これよりクリオスタットにて6μm厚の切片を作成し、癌関連遺伝子(産物)に対するモノクローナル抗体とヒストファインSAB-P0キットを用いて免疫組織化学的染色を行った。 p53(Ab-3,mutant)の染色陽性率(+,++)は、治療前25.0%(9/36)、4Gy照射時36.4%(12/33)、10Gy時25.7%(9/35)、20Gy時13.8%(4/29)であった。放射線治療20Gy時のHE標本にて判定した局所効果とp53(Ab-3)染色性との関係について、局所効果をremarkable/effective群とpoor群に分けて検定を行ったところ、治療前のp53(Ab-3)陽性群では有意に局所効果良好との結果を得た。4Gy時では統計学的有意差はないものの、同様の傾向が認められた。予後とp53(Ab-3)染色性との関係については、治療前および4Gy時には明らかではなかったが、10Gy時にはp53(Ab-3)陽性群のほうが予後不良傾向にあった。年齢、性、原発部位、T因子、N因子、病期、分化度とp53(Ab-3)染色性との間には明らかな関係は認められなかった。
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