研究概要 |
本研究の第一段階である本年度においては実験動物を用いて肝静脈-門脈間の短絡路径と門脈圧減圧効果との関係についての基礎的検討を主として行った。 実験動物はブタを用い、頸静脈から穿刺針を肝静脈内に挿入し、臨床と同様の手技にて肝臓内に肝静脈一門脈間に短絡路を作成した。合計10匹に行ったが、全例で短絡路形成に成功し、手技上の問題点は特になく行える手技であると考えられた。 実験動物のうち6匹には短絡路形成術前に経皮経肝的手技で血管カテーテルを門脈内に挿入し、門脈枝を塞栓して門脈圧亢進症をあらかじめ作成した。これについても全例に成功したが、これら処置を加えた実験動物に対して上記手技で肝臓内の短絡路内に6mm,8mm,10mm直径の金属ステントを挿入し、門脈圧下降程度の観察および門脈造影像の変化についての検討を行った。 門脈圧の低下は挿入された金属ステント直径とほぼ比例関係にあることが確認され、また肝内門脈枝の造影程度は短絡路直径と反比例の傾向にあることがわかった。 以上の結果から本法は手技上の問題点は特になく、臨床応用が可能であるとの結論が得られた。適切な短絡路直径ついては次年度の検討を待って報告したい。
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