研究概要 |
WHHL家兎と正常家兎における大動脈内ステント留置後の変化を画像および組織標本にて比較検討した。 大動脈造影では,ステント留置直後のステント部血管径を基準とした血管径の狭窄率の変化では,1週,2週後においてはWHHL家兎,正常家兎とも狭窄率は経過とともに高くなり,両者に大きな差は見られなかったが,正常家兎が4,8週後でも2週後と狭窄率に大きな変化が見られないのに対し,WHHL家兎では4週,8週と経過するに従って狭窄率は高くなり,8週後ではWHHL家兎は正常家兎の約2倍の狭窄率となった。 摘出標本の病理学的検討では,ステント留置1週後に正常家兎では中膜に,WHHL家兎では肥厚内膜にステントワイヤーによる壁圧縮が認められ,ワイヤー周囲には血栓の付着と初期細胞増殖反応が見られた。2週後には,WHHL家兎ではステント周囲に血栓および平滑筋細胞やマクロファージが主体の新生組織増殖が認められたのに対し,正常家兎では新生組織の増殖は認められたが,血栓はほとんど見られなかった。4週および8週後には,WHHL家兎では8週後でも一部に血栓の残存が見られたのに対し,正常家兎では血栓の付着は見られなかった。またWHHL家兎は正常家兎に比べて修復新生組織量も多く見られた。 以上の検討より,WHHL家兎では観察しえた8週後まではステント部血管径は時間経過とともに狭窄が進み,2週後で狭窄率がほぼピークに達する正常家兎とは異なっていた。また,ステント部血管での血栓の付着,修復過程は正常家兎に比べ遷延化し,それとともに修復新生組織の増大が認められた。
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