研究概要 |
1.家兎に実験大腿骨頭壊死症を作成し,そのMRI像と病理組織を比較する予定であったが,実験大腿骨頭壊死症作成の方法に問題があり,MRIの撮像にいたらなかった。現在,実験法の改良を検討中で来年度早期に実験に着手する予定である。 2.SLEを中心とした早期大腿骨頭壊死症が疑われる症例に対するMRI検査はひきつずき行われている。過年度の検査で異常所見のあった症例について経過観察のMRIを行ったところ,大腿骨頭壊死の進行が認められた症例があり,従来報告したMRI変化(造影併用脂肪抑制MRIでの異常造影像)が本症の早期所見である可能性がより濃厚になった。 3.新しい脂肪抑制法が開発されたので,臨床応用を行い,その成績を検討中である。 4.本研究で開発中の造影併用脂肪抑制MRIを関節リウマチの病勢診断に応用した。従来関節リウマチの炎症組織であるパンヌスはMRIでよく造影され,病変の検出には造影MRIが有用な方法とされていた。しかし,関節内や周囲のパンヌスはこの方法でよく描出されるが,本来高信号の骨髄組織のある骨内への浸潤の診断は困難であった。しかし,造影併用脂肪抑制MRIは骨内への炎症組織の浸潤も明瞭に描出され,関節リウマチの病勢診断に有用であった。脂肪抑制画像の関節疾患への応用については総説の一部として発表した。平成8年度はこの分野での臨床研究を継続したい。 5.大腿骨頭壊死と鑑別を要する疾患に予後良好な疾患である大腿骨頭一過性骨萎縮症がある。本研究のために開発したMRI撮像を本症に行った結果,本症の本態と疑われている骨頭内浮腫と考えられる所見を捕え,その一部を報告した。
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