深部に浸潤するメラノーマの深部での熱中性線量を評価する目的で、胆癌ハムスターを用いたαトラック法、ファントム実験およびブタを用いた前臨床試験を施行した。深部への熱中性子線量を増やすための因子として以下の知見を得た。 1 照射野面積をできるだけ大きくする。 2 浅部のホウ素(^<10>B)濃度を低くする。 3 腫瘍し照射孔のマッチングをよくする。 4 コリメーターの改善により熱中性子の前方向成分を増やす。 5 熱外中性子成分を増やす。 このうち、短期的に臨床応用可能なのは、1、2、3で、今後検討する予定である。以上は局面型メラノーマの深部浸潤を想定したものであるが、最近、結節型メラノーマに熱中性子補促療法を施行する機会を得たが皮下浸潤部での線量評価に苦労した。今後、多様な結節型メラノーマに対応した深部線量分布を推定できるようになり、そこのことで至適照射体系を選択できることが必要となる。そのために多様な、結節メラノーマを擬したファントム実験を施行する予定である。 *1 1に関しては正常皮膚の障害を考慮しても正常皮膚ではホウ素濃度が低いことより腫瘍血縁より3〜4cm広い照射野にすることは可能と考える。2に関しては、これまでの臨床データで腫瘍内ホウ素濃度が20μg/g前後であることより十分可能と考える。3は、これまでもしてきたことであるが、より以上の工夫が必要と思われる。4、5に関しては原子炉工学方面での研究改善が望まれる。
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