臨床的に軟部組織より発生したと思われた腫瘤性病変75例に対してMRI検査を施行した。造影MRI、Dynamic MRIは数例を除きほぼ全例に施行可能であった。手術あるいは生検が施行され、病理組織診断が得られたものは約60例で、手術が施工された症例のうち、9例においてはMRI像と病理像との詳細な検討を行なった。 軟部腫瘍の良悪性の鑑別に関しては、腫瘍に対して典型的かつ特異的所見を呈する場合には、比較的容易であるものの、そのような所見は比較的少なく、全体的には良悪性ともにoverlapして見られる所見が極めて多く存在するため、その鑑別は困難な場合が多い。しかしながら、MR信号とdynamic MRIにおける腫瘍内の造影パターンを把握することにより、従来に比して良悪性の鑑別の向上が可能となった。 治療効果に関しては、従来より、画像上の判定としては腫瘍径の変化が主に使用されていたが、造影MRIでの造影程度やdynamic MRIにおける造影パターンの変化が重要な指標となった症例を経験した。腫瘍径のみならず、造影MRI、dynamic MRIが治療効果判定の指標となりうるものと考えられる。 疾患別の検討としては、特に小児に多い横紋筋肉腫と高齢者に多いMaliqnant fibrous histiocytomaについて検討し、比較的特徴的な所見が見られた。 病理組織との対比においては、腫瘤内の各種壊死、viable部分、繊維化、粘液基質などの内部性状との比較を行ない、通常のMRIに、さらに造影MRI dynamic MRIを加えることにより内部性状の推察がある程度可能であることが判明した。
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