研究課題/領域番号 |
06670952
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩佐 博人 千葉大学, 医学部, 助手 (60203361)
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研究分担者 |
柴田 忠彦 千葉大学, 医学部附属病院, 医員
長谷川 修司 千葉市環境保健研究所, 所長 (20009640)
古関 啓二郎 千葉大学, 医学部, 助手 (90170258)
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キーワード | G蛋白質 / キンドリング / てんかん / ADPリボジル化反応 / nitric oxide / 神経可塑性 |
研究概要 |
本年度の研究では、てんかん原性獲得の生化学的基盤を解明するために、以下の研究を実施し興味ある知見を得た。 SDラットの左扁桃核にて電気キンドリングを行い、最終全般発作後24時間後および3週間後に大脳皮質および海馬における百日咳毒素によるADPリボシル化反応の変化を対照群と比較した。その結果、最終発作後24時間の時点で両側大脳皮質および海馬において39〜41kDaの蛋白質のADPリボシル化反応の著名な増大が認められた。これらの変化は最終発作後3週間経た時点でも明かであった。また各G蛋白質サブクラスのαサブユニットに対する特異抗体を用いたimmunoblottingの結果から、この39〜41kDa蛋白質がGiまたはGoである可能性が示された。 さらに、扁桃核キンドリングモデルにおける内在性のADPリボシル化反応についても検討を行ったところ、全般発作誘発後24時間の時点において、左(刺激側)大脳皮質における38kDa蛋白質の内在性ADPリボシル化反応が著明に増大していた。この反応は、nitric oxideの産生を促すnitroprussideの添加によってさらに増強した。 以上の研究結果から、キンドリングモデルにおける発作の発現や長期持続性のてんかん原性獲得の基盤においてG蛋白質(特にGi,Go)の機能的あるいは量的変動が重要な意義をもっていることが示唆された。さらにnitric oxideが関与する伝達機構における38kDa蛋白質(この物質の同定についてはさらに検討中)の内在性ADPリボシル化反応の変化もキンドリング現象形成に多大な関与があることが予想された。
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