研究概要 |
三重県の産科及び小児科を標榜するS病院の後期の母親学扱を受講した妊産婦を対象として、妊娠後期、産後1カ月後、産後3カ月後、産後4カ月後、産後1年後の各時期に平成6年度に作成した調査票(特性不安尺皮、状態不安尺皮、エジンバラ産後うつ病調査票など)を配布して、妊娠期から産後1年までの妊産婦の心理的変化、産後うつ病のスクリーニング、産後うつ病と産科的要因(分娩様式、経産回教、出産時体重、性別など)、社会心理的背景(病前性格、世帯構成、住居環境、産後の支援体制)、母子関係(愛着など)を追跡し、データーの集積中である.また、小児科医の協力で乳幼児の発育、神経発達的な検索も同時に行い、産後の精神状態が乳幼児の心理的な発達に及ぼす影響を調査するためのブロトコールを作成して、順次産後1年目の経産婦に対して調査を開始した. 他方、比較文化的精神医学の観点からの調査のため、ケンブリッジ大学で開催された産後精神障害の国際共同研究のワークショッブ(WHO協力)に参加討論し、本プロジェクトとの整合性も今後検討した. その結果、現在まで、477名の同意を得られた妊産婦のデーターを回収して、データーに入力している.全体のまとめは平成7年度のデーターの集積を経て、平成8年度の最終的な解析を待たなければならないが現在までの中間解折では、産後うつ病の出現頻度は産後1カ月で18.3%、産後3カ月で11,9%、産後4カ月で7.2%となった.産科的要因では、初産婦、25歳以下の年令層に産後の不安傾向が強くみられたといった結果が得られている.今後もデーターの集積を重ねて、産後1年後までの妊産婦の心理的状態と母子関係の関連を追跡する
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