1.65才以上の高齢者712名に対し、睡眠習慣ならびに睡眠障害の有無についてアンケート調査を行った。その結果、夜間不眠特に中途覚醒の頻度は、年齢と有意な正の相関を示した。また、夜間せん妄の発現頻度は、80才以上で顕著に上昇することが明らかになった。これらの睡眠障害は、高血圧ならびに整形外科疾患を持つ対象者に多いことが確認された。さらに、夜間せん妄の既往のある者は既往のない者に比べて、睡眠習慣において夜間睡眠時間が有意に短く、かつ昼間の午睡回数が多かった。 2.65才以上の健常高齢者7名に対し、正常睡眠夜の翌日(対照日)ならびに夜間REM遮断を行わせた翌日の2回、Multiple sleep latency test(MSLT)を10:00、12:00、14:00、16:00の各時間帯に行い、睡眠潜時測定後に午睡を行わせた。その結果、REM遮断翌日には、MSLT潜時が10:00と12:00において対照日に比べて有意に短縮していた。また、筋活動抑制を伴うREM睡眠(d-stage REM)が、10:00ならびに12:00での午睡時に出現していた。 以上より、せん妄は夜間睡眠不良特ににREM遮断状態の結果、昼間の睡眠にREM睡眠構造が混入したために生じている可能性があると推測された。
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