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1995 年度 実績報告書

高齢者における夜間せん妄の発現メカニズムに関する生理学的研究-生体リズムの加齢変化と異常REM睡眠の関係について-

研究課題

研究課題/領域番号 06670963
研究機関鳥取大学

研究代表者

井上 雄一  鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (50213179)

研究分担者 中村 準一  鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (90237404)
岸本 朗  鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (00093584)
キーワード術後せん妄 / レム睡眠 / 睡眠覚醒リズム / メチルコバラミン / hypoactive delirium / 高齢者
研究概要

せん妄が、自然消褪しうる病態であることを考慮し、腹部悪性腫瘍に対する外科手術後7日以内にせん妄を呈した20症例に対し、メチルコバラミン250mgまたは生理食塩水(placebo)を各10例無作為に割りつけ、一重盲検治療比較試験を行い、せん妄経過および睡眠覚醒リズムの変化について検討をなした。
その結果、メチルコバラミン群はplacebo群に較べて有意にせん妄罹病期間が短かった。またTrzepaczのせん妄評価スケール(DRS)総得点は、投与開始3日目よりメチルコバラミン群の方が有意に低得点を示した。DRS項目のうち、幻覚、気分の不安定性、睡眠覚醒リズム異常、症状の日内変動の項目得点がゼロになるまでの日数が、メチルコバラミン群の方がplacebo群に較べて有意に短かった。日毎の併用向精神薬の用量は、両群間に一定の差異は認められなかった。睡眠の日内分布についてみると、投与開始前には、両群ともに夜間にせん妄症状が集中するとともに睡眠量が少なく、日中の午睡が多発していたが、投与開始3日後よりメチルコバラミン群の方が総睡眠に対する昼間の睡眠の割合が有意に低くなっていた。またせん妄寛解前2日間の総睡眠時間は、メチルコバラミン群の方が有意に短く、この群ではせん妄寛解前にhypoactive deliriumは認められなかった。
以上より、効果発現が鎮静性向精神薬に比べて緩徐なものの、メチルコバラミンはせん妄治療に有用であると考えられた。その効果発現機序としては、睡眠覚醒リズムへの影響、特に夜間睡眠の増加ないし日中の覚醒水準増強が関与していると考えられた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 井上 雄一: "老人の夜間異常行動に対する時間生物学的治療" 今月の治療. 4. 92-96 (1996)

  • [文献書誌] 井上 雄一: "高齢者の睡眠時無呼吸に対する睡眠薬の影響ゾピクロンとフルラゼパムの比較" 精神医学. 37. 959-966 (1995)

  • [文献書誌] 九里 友和: "睡眠時無呼吸症候群の軽症例と重症例の比較検討-発症と増悪過程の機序について-" 米子医学雑誌. 46. 233-247 (1995)

  • [文献書誌] 清水 修: "術後せん妄ならびにICU・HCU症候をはじめとする各種せん妄に対するビタミンB_<12>ならびに光療法の効果" 精神科治療学. 9. 1379-1386 (1994)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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