研究課題/領域番号 |
06670966
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡崎 祐士 長崎大学, 医学部, 助教授 (40010318)
|
研究分担者 |
太田 保之 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50108304)
中根 允文 長崎大学, 医学部, 教授 (80039833)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
キーワード | 精神分裂病 / 長期転帰 / 追跡調査 / 社会心理学的因 / 構成面接法 / 評価者間信頼性 |
研究概要 |
本研究は、発生率コホート研究における初発精神分裂病者107例を対象とした、前向的長期転帰研究である。調査用の構成面接などの評価法は、事前に十分な評価者間一致率を得ている。主要な結果は以下のとおり:1.生命転帰は、生存58、志望7の計65例で判明率60.7%、脱落例は42例(39.3%)。死亡例中、自殺4例、疑い1例で、全対象者に占める自殺率は累計約6〜8%であった。脱落例の大部分は研究開始後2年以内に脱落しており、2年後、5年後、10年後、および今回の追跡率は6割前後で一定であった。2.症候学的転帰は、本研究では少なく算出された可能性があるにもかかわらず、少なくとも約3割が現在“回復"していることが示された。これは内外の他の報告を支持する。分裂病の症候学的長期転帰は必ずしも不良ではないが、現在症や症候学的転帰は、良・不良に二極化する傾向がある。3.社会的転帰を包括的に評価は、良好群39.7%、不良群55.2%で、諸家の報告と比べて、中間の値である。4.長期経過は、挿話的な経過が約4割、持続的経過が約4割、これらの中間的な経過が2割弱となり、他家の類似の研究成果と一致する。本研究で得られた、症候学的転帰・社会的転帰・経過を総合すると、精神分裂病の転帰は必ずしも不良なものではなく、良好な一群が存在すること、また一方で、長期的に持続的に精神病性症状を呈する経過をとり、低い適応レベルにとどまる一群も存在すること、が再確認された。今後の研究課題として、初回接触前後の様々な因子(例えば、発症様式、発症から治療開始までの期間、初発症状の性質、初回エピソードの持続期間など)、初期治療内容、発症後短期の経過、発症前・後の社会心理学的要因などと経過・転帰の関係を解析して公表する予定である。
|