研究課題/領域番号 |
06670975
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
新井 平伊 順天堂大学, 医学部, 講師 (50167988)
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研究分担者 |
木村 通宏 順天堂大学, 医学部, 助手 (50234381)
高橋 正 順天堂大学, 医学部, 助手 (30236294)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 講師 (60211067)
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キーワード | 記憶 / 一酸化窒素 / アルツハイマー型痴呆 |
研究概要 |
記銘・記憶障害を主症状とする疾患においてその障害の病態を検討することにより、さかのぼって記憶過程の解明をめざすアプローチとして我々が注目したのは、神経細胞における長期増強(LTP)であり、その発生機序にはグルタミン酸(Glu)やカルシウム代謝とともに一酸化窒素(NO)の関与が想定されている。しかし、NOは脳内においてさまざまな生物学的役割を持つことが示唆されているものの、ヒト脳における分布や役割については国内外を問わずほとんど検討されていないのが現状であり、本研究ではアルツハイマー型痴呆(ATD)症例ならびに対照老人症例の剖検脳においてLTP機構に関与するGlu濃度やカルシウム関連物質の変化を検討するとともに、NO合成酵素(NOS)に関する検討を行うことを計画した。初年度である平成6年度には、正常対照老人剖検脳において抗NOS抗血清による免疫組織化学を行い、光顕的に検討し(担当:岩本典彦)、抗NOS抗血清の感度や特異性について確認すると共に、ヒト脳におけるNOS含有細胞の分布を明らかにした。つまり、大脳皮質(前頭葉・側頭葉)および海馬やマイネルト核を含む部位から切片を切り出し(担当:高橋正)、免疫組織化学を行い、マイネルト核を含む切片では抗コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)抗体による免疫組織化学を併用した(担当:木村通宏)。その結果、大脳では、皮質深部および白質にNOS陽性細胞が散在していることが明らかとなった。記憶と結びつきが強いとされ、ATDにおいて障害されているマイネルト基底核では、小型神経細胞がNOS陽性であったが、コリン作動性神経細胞には明らかな免疫活性は確認できなかった。また、海馬において電気生理学的にLTPが確認されている神経細胞にNOSが存在しているか現在検討中であるが、初年度として計画した検討は、ほぼ予定通り実施できたと思われる。
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