研究課題/領域番号 |
06670978
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
笠原 洋勇 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60056950)
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研究分担者 |
中野 浩志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20217798)
西村 浩 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00246430)
篠崎 徹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (10206104)
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キーワード | CT / MRI / 画像所見 / 正常ボランティア / 追跡研究 / 痴呆 / 早期発見 / 死亡 |
研究概要 |
地域で健康な生活を送っている133名の老人の協力を得て第1次(1982年)、2次(1986年)、3次(1989年)、4次(1992年)の脳画像を用いた追跡を行った。10年後の成績について死亡群と生存群、痴呆群と非痴呆群、アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆に分類し、初回調査時の所見について比較した。死亡群と有意な相関を示した所見を列挙すると次の通りであった。年齢、ベントン視覚記銘テスト(BVRT)正確数、BVRT誤数、CT所見、小梗塞、PVL、シリビウス裂の拡大、cell media index、maximal width of third ventricule、BVRT card6、card9、BVRTの省略、歪み、大きさであった。死亡群は生存群に比し健康であっても多くの所見を有することが示された。 次に痴呆群と非痴呆群の比較では痴呆群は年齢、シリビウス裂の拡大、MWTV、BVRTの省略、置き違い、大きさであった。 この間に133名の被検者のうち死亡した34名(25.6%)と痴呆に罹患した19名(14.3%)の初回に行った年齢、CT所見、ベントン視覚記銘テストの結果を用いて生存と死亡、痴呆と非痴呆を予測する指摘とならないか検討したところ、生存と死亡の可能性については79.6%、痴呆と非痴呆の可能性については74.2%が判別可能であることが示された。具体的な臨床の指標として、CTやベント視覚記銘テストが活用できることも明かとなった。 第3回と4回の追跡調査では、MRIを用いた。外部変数に伴うMRI所見の変化をみると、年齢に相関するものは基底核、視床、側頭葉、頭頂葉のT_2強調画像の高信号域(T_2HSI)であり、同様にT_2HSIの個数が相関した。またlacunar infarctionも加齢と相関した。側脳室、シリビウス裂、第3脳室の拡大、皮質、脳梁の萎縮、鉄沈着、PVHは上記同様に年齢と相関していた。健常老人であっても平均73.3歳ともなると、潜在性の病的変化がおこり、これらはいずれ痴呆などの病的所見が臨床的に顕在化する可能性を示唆していた。
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