研究課題/領域番号 |
06670984
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
林 拓二 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80173011)
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研究分担者 |
須賀 英道 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70187623)
大原 貢 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40065537)
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キーワード | 非定型精神病 / 精神分裂病 / 脳画像診断 / SPECT / MRI / ICD-10 / ICD-10(ICM) |
研究概要 |
非定型精神病の精神病理学的研究として、この10年間に精神病症状を呈して愛知医大に入院した351名を、ICD-10と従来診断とにより分類し、その精神症状と経過型を比較検討した。その結果は以下の通りである。 1)非定型精神病は、従来診断にしろ日本版ICD-10にしろ、急性一過性精神病(F23)と分裂感情障害(F25)とを中心に構成される。両診断の主たる差異は、従来診断では非定型精神病とされる急性精神病の遷延型と、急性分裂病様精神病(F23.2)とを、日本版ICD-10では非定型精神病から除外していることである。 2)一級症状の出現頻度は、非定型精神病よりも分裂病に有意に多いとは言えなかった。幻声と自我障害は分裂病に多く見られたが、妄想知覚は非定型精神病に若干多く認められた。 3)ICD-10での分裂病の診断は、なお大きく一級症状に依拠しているが、分裂病と非定型精神病との差異は、幻声などの一級症状にではなく、もっと生物学的な意識障害や人格変化に求められるべきである。 我々はさらに同じ資料を用いて、分裂病と非定型精神病の発症年齢と性差、家族負因と誘因について調査して、比較検討した。それぞれの結果は、2編を「精神医学」誌に、1編を「愛知医大誌」に投稿している。また、非定型精神病の遷延経過例を、他の非定型精神病や精神分裂病と比較して、「精神科症例集」に発表した。 SPECT、MRIなどの画像診断学的研究は、症例数を増やしている段階であるが、現在までの我々のSPECTのデータでは、基底核での所見が幻聴と関連した非特異的なものであるのに対し、分裂病に見られる前頭葉の^<123>I-IMPの集積低下所見と、非定型精神病に見られる右視床領域の^<123>I-IMP低下所見がそれぞれの疾患に特徴的な所見であるように思われる。この結果は「The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology」誌に発表した。
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