研究課題/領域番号 |
06670984
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
林 拓二 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (80173011)
|
研究分担者 |
須賀 英道 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70187623)
大原 貢 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40065537)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1996
|
キーワード | 非定型精神病 / 精神分裂病 / ICD-10 / 画像診断 / 発症年齢 / 一級症状 / 誘因 / 家族負因 |
研究概要 |
我々は、満田による非定型精神病の概念を、操作的診断から再検討するために、ICD-10を用いて再分類した結果を検討した。すなわち、1982年から1991までの10年間に、精神病症状を伴って愛知医大に入院し治療を受けた内因性精神病の351名を対象に、その発症年齢と性差、精神症状と経過、家族負因と誘因の有無について調査した。そこでは、ICD-10の分裂病と比べると、分裂病の概念は中核群に限定されて狭くなり、一方、非定型精神病の概念は逆に広がり、多様な疾患を包含している可能性が窺われた。非定型精神病は女性に多く、その発症年齢は30歳代前半や40歳代にも多いことから、女性に特有な生殖や更年期障害などとの関連が考えられる一群も含まれている可能性がある。また、Schneiderの一級症状は、非定型精神病にも多く出現し、その存在を理由に分裂病と診断することは必ずしも妥当ではないと考えられた。非定型精神病の場合、分裂病と比べて一級親族に負因を認めるものが多く、誘因もまた有意に多かった。また、ここでは、非定型精神病をICD-10によって亜型に細分してそれぞれを比較している。「分裂病症状を伴う急性多形性精神病」は、家族負因が極めて多い一方で、誘因は少なく、一方、「急性分裂病様精神病」は、負因が少なく、誘因が多く認められた。すでに発表したCTやSPECTによる画像研究とあわせ、我々の一連の研究は、表現型の異種性はもちろんのこと、病態発生から病因における分裂病性精神病の異種性を視野に入れたものであり、非定型精神病と分裂病とが異なる疾患である可能性と、さらに非定型精神自体が均質なものとは考えられないことを示唆している。
|