研究課題/領域番号 |
06670995
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
三ツ汐 洋 国立精神神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 研究員 (90175612)
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研究分担者 |
綱島 浩一 国立精神神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 研究員 (30197743)
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キーワード | 精神分裂病 / 予後調査 / BPRS / 抗精神病薬投与量 / 血漿HVA濃度 / 血漿MHPG濃度 / 血漿prolactin濃度 / 血漿cortisol濃度 |
研究概要 |
退院時に精神症状評価と生物学的指標測定を実施し、その後1年間の経過・転帰を調査し、どの指標が予後予測に有効か検討した。 対象は国立精神・神経センター武蔵病院の男子閉鎖病棟を退院した精神分裂病(DSM-IIIR)患者114例のうち経過・転帰の判明した81-86例である。退院時に精神症状評価(BPRS)と生物学的指標(抗精神病薬投与量と血漿HVA、MHPG、prolactin、cortisol濃度)測定を実施した。退院後1年間の経過は、再発の有無、再入院の有無、経過様式(ICD-1)、退院1年後の転帰は、主病像(ICD-10)、総合評価尺度(GAS)、転帰(林・秋元)を調査した。 対象患者は平均年齢32歳、平均罹病期間10年、今回の入院期間の平均220日であった。発病前の状態、発病時の状態、今回入院までの経過は予後予測に有効でなかった。退院時の主病像、転帰と退院1年後の主病像、転帰との間にはそれぞれ有意な関連が認められ、退院時の状態は予後予測に有効であった。入院前1年間および退院時のGAS得点と退院後1年間の経過様式、退院1年後の主病像、転帰との間にはそれぞれ有意な関連が認められ、退院時の状態は予後予測に有効であった。入院前1年間および退院時のGAS得点と退院後1年間の経過様式、退院1年後の主病像、転帰との間には有意な関連が認められ、入院前1年間のGASの最高レベル、退院時GAS得点は予後予測に有効であった。退院時の陽性症状系列の症状(陽性症状、妄想性対人障害)、BPRS総得点の高得点は不良な経過の予測に有効であった。退院時の陽性症状系列の症状、陰性症状、BPRS総得点の高得点は不良な転帰の予測に有効であった。退院時の抗精神薬投与量と血漿cortisol濃度は経過・転帰の予測に有効であり、両者が高値を示すものでは精神病症状が持続する可能性が大きく、転帰が悪い可能性が大きいと考えられた。退院時の抗精神病薬投与量、血漿cortisol濃度は予後予測に有効な退院時のBPRS総得点、陽性症状、陰性症状などと有意な正の相関を示したため、予後予測に有効となったと考えられた。
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