研究課題/領域番号 |
06670995
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
三ッ汐 洋 国立精神・神経センター, 神経研究所・疾病研究第3部, 研究員 (90175612)
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研究分担者 |
綱島 浩一 国立精神, 神経センター神経研究所・疾病研究第3部, 研究員 (30197743)
堀 彰 国立精神, 神経センター神経研究所・疾病研究第3部, 研究員 (70261188)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 精神分裂病 / 治療抵抗性 / 再発 / Manchester Scole日本語版 / 難治性分裂病の診断基準 / 血漿HVA / 血漿MHPG / 薬剤性無顆粒球症 |
研究概要 |
治療抵抗性分裂病について検討し以下の結果を得た。(1)我々が作成したManchester Scale(MS)の日本語版は評価者間信頼度、内的整合性、妥当性とも十分に高く有用な尺度であった。(2)難治性分裂病の診断基準としては、(i)ICD-10の精神分裂病の診断基準をみたす、(ii)今回の入院期間が2年以上、(iii)総合評価尺度で40点以下、(iv)MSの6項目(感情の平板化・不適切な感情、精神運動減退、妄想、幻覚、滅裂思考、寡言・無言)のうち3項目以上が重度以上、が得られた。(3)罹病期間の長期化にともなって、滅裂思考は独立した症状から陰性症状を構成する症状に変化し、不安・抑うつと幻覚・妄想は同一の症状群から独立した症状群に変化した。(4)難治性分裂病は陰性症状だけでなく陽性症状も重症であり、多量の抗精神病薬が投与されているにもかかわらず、精神症状が改善しにくい薬物抵抗性の患者群であった。(5)治療抵抗性分裂病患者では、入院治療によっても陽性症状の改善が不十分であり、血漿HVA、MHPC濃度の低下が生じなかった。(6)精神分裂病入院患者における血液・生化学的検査での異常値の発生頻度は高く、原因薬物についても興味ある結果が得られた。(7)精神科領域でも薬剤性無顆粒球症は決してまれなものではなく、治療には原因薬剤の中止と顆粒球コロニー形成刺激因子(lenograstim)注射が有効であった。(8)英国における実際の症例に基づいて、難治性精神病の司法精神医学的側面について検討した。 再発反復性分裂病について検討し以下の結果を得た。(1)抗精神病薬減量の過程では、心理・社会的ストレスよりも減量そのものが精神分裂病の再発に対して重要な役割を果たした。不安抑うつ得点が増加した場合や血漿MHPG濃度が高値を示す場合には、抗精神病薬の減量が再発に結びつく可能性が強かった。(2)退院時の生物学的指標の一部が精神分裂病の退院後1年間の再発の有無と関連していた。(3)持効性抗精神病薬により精神分裂病の再発・再入院が明かに減少したが、適応機能に対しては明瞭な影響はなかった。
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