研究概要 |
平成6年度は1NIDDMとサイトカイン:NIDDMの耐糖能異常のサイトカイン誘起剤による治療と合併症の予防、 2糖尿病性合併症とサイトカイン:糖尿病患者における血中TNFα濃度の上昇と糖尿病性合併との関連、 3TNFα産生抑制剤による糖尿病性神経障害の治療、などについて成果を挙げた。それぞれの概要を以下に述べる。 1サイトカイン誘起剤投与によるNIDDMモデル動物の耐糖能の長期改善とその機序の解析:KK-Ayマウスの耐糖能はOK-432,BCG,CFAなどによる非特異的免疫刺激で正常化した。CFAの定期的投与はKK-Ayマウスの腎糸球体病変、脂肪肝、高中性脂肪血症を抑制した。耐糖能の改善の一部はIL-1によって仲介されていた。サイトカイン誘起剤にNIDDMの血糖正常化作用と糖尿病性合併症予防作用のあることが初めて示唆された。 2糖尿病性合併症とサイトカイン:糖尿病性合併症、特に糖尿病性腎症患者では血清中TNFα濃度が有意に上昇していた。糖尿病性合併とサイトカインの関連が示唆された。 3TNFα産生抑制剤による糖尿病性合併症、特に神経障害の治療とその機序:N-アセチルシステインに加えてペントキシフェリンにもTNFα産生抑制作用があり、糖尿病ラット座骨神経の運動神経伝導速度低下予防作用を有することが明らかになった。TNFα産生抑制作用と糖尿病性神経障害予防作用の関連が示唆された。
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