成長ホルモンは成長・代謝促進の上で大きな役割を担っているホルモンであるが、そのレセプター以降のシグナル伝達はほとんど明かにされていない。 マウス・ラットでは成長ホルモンの分泌パターンに性差がある。雄ではスパイク状に、雌では持続性に分泌されている。ある種の遺伝子はこの分泌パターンの違いにより調節されている。 我々は、多くの純系マウスの肝臓において雌に特異的に発現しているtestosteron 15α hydroxylase(P450 15α)をクローニングし、その発現が雄型の成長ホルモン分泌パターンによって、遺伝子の転写レベルで調節されていることを見い出した。また、各種純系マウスのmRNAレベルを検討した結果、性差の明かでないマウスが発見され、それらマウスの交配実験により、このP450 15αの発現調節には、成長ホルモンの分泌パターンに依存してトランスに働く因子が存在することが明かとなった。さらに、このP450 15α5′上流域に、成長ホルモン応答部位を決定した。 本研究においては、この成長ホルモン依存性のtrans-acting因子(DNA結合蛋白)をクローニングし、成長ホルモンの遺伝子発現調節の上で果たす役割を検討した。 P450 15aのpromoter領域に担当する2本鎖オリゴヌクレオチドをprobeとしてマウス肝のexpression cDNA libraryをscreeningし、2個のcloneを得た。(p109、p108) p109をGluthathions-transfeverase(GST)exoressuib vectorに組み込み、p109 proteinとGSTのfusion proteinを得、その抗体を作製した。このfusion proteinを用いてSouthwestern blot及びgel shift assayを行ない、結合蛋白であることを確認した。 この抗体を用いてマウス雄及び雌の肝核蛋白をWestern blotしたが、p109がコードする蛋白に性差はなかった。 p109 insertを用いてNorthen blotを行なったが性差はなかった。 p109がコードする蛋白は、p108がコードする蛋白と相互作用することを示唆する結果を得た。 今後さらにp109のcharacterizationをすすめる。
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