1.培養細胞をn酪酸で処理するとキャリアー蛋白を介した細胞への甲状腺ホルモン(T3およびT4)の摂取が増加した。n酪酸は細胞によるホルモン摂取のKm値には影響を与えず、Vmax値を増加させた。すなわちn酪酸によるホルモン摂取の増加はキャリアー蛋白数の増加による。しかしT3とT4では細胞への取り込み増加の程度や時間経過、n酪酸の濃度依存性が異なった。またT3の核への移行は細胞への取り込みの増加と同様に増加したが、T4の核への移行は逆に減少した。 2.培養ラット肝癌細胞および核へのT3の取り込みは細胞周期に応じて変化するが、T4の取り込みは変化なかった。 これらの結果は、T3とT4のキャリアー蛋白は異なること、核へのホルモン移行のメカニズムも異なることを示唆する。 3.ラット脳下垂体腫瘍細胞(GH3細胞)より卵母細胞へ注入するのに十分な純度のmRNAを分離し得た。Total mRNAを卵母細胞へ注入する事により、細胞へのT3摂取の増加を認め、T3 carrier proteinをコードするmRNAの存在が示唆された。
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