研究概要 |
グルコキナーゼ(GK)遺伝子の異常がNIDDMのサブタイプであるMODYの原因となることが明らかになった。また一般のNIDDMにおいても、GK遺伝子のマイクロテサライト領域を利用した解析では日本人を含めた複数の人種でGK遺伝子と糖尿病に関連を認めた。しかしながら一般のNIDDMにおいては、アミノ酸レベルでの異常を起こすような遺伝子変異は見つからず、我々は遺伝子のcoding region以外の調節領域に遺伝子異常が存在し、それが糖尿病の発症原因となる可能性を追求することにした。また、プロモーター領域に結合する組織特異的な転写因子をクローニングすることも試みた。更に、NIDDM発症候補遺伝子として肝/膵型トランスポーター(GLUT2)遺伝子、HepG2型グルコーストランスポーター(GLUT1)遺伝子、mGPDH遺伝子の解析も行った。 1. GK遺伝子の-30の領域のA/G多型性が存在し、-30 : Aは-30 : Gに比しプロモーター活性が低いことが明らかとなった。 2.非糖尿群における経口糖負荷テストによる解析で、-30 : Aを有する固体は、-30 : Gを有する個体に比して耐糖能異常を示す頻度が高い(A/A homozygoteで4名中3名、A/G heterozygoteで10名中5名、G/G homozygoteでは8名はすべて正常型)ことがわかった。 3.更にA/A群はG/G群より糖負荷テストにおける90分と120分血糖値が有意に高いことが明らかにされた。 4. GK遺伝子膵型プロモーターの転写開始点から上流約200bpのDNAフラグメントをプローブとしてヒトインスリノーマcDNAライブラリーをスクリーニングした結果陽性クローンを得ることはできなかった。 5. GLUT1, GLUT2遺伝子は日本人糖尿病の高頻度の発症因子とはならないものと推測された。
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