研究概要 |
器官形成期のembryoは、エネルギー産生経路を主として嫌気性解糖系に依存しているため、scavenger systemが未熟であることが推察される。 糖尿病母体からの奇形の発生機序を追及する目的で、embryo culture systemを用い、embryoを高血糖で培養し、glutathione(GSH)および関連諸酵素を検討した。 高血糖(73mM glucose)でembryoを培養した時、発育不全、神経管の閉鎖不全などの奇形の頻度を30%に認めた。高血糖で培養したembryoのGSH濃度はcontrolのそれと比べ約半分に低下した。GSHの律速酵素γ-glutamylcystein synthetase(γ-GCS)およびγ-GCSmRNAは著明に低下を示した。高血糖で48時間培養したembryoをコラゲナーゼで処理し、単離embryonic cellを得、2,7-dichorofluorescein diacetate(DCFH-DA)およびlucigeninを添加し、フローサイトメトリーおよびフォトメーターにて細胞内および細胞外のfree rasicalの産生を測定した。細胞内および細胞外のfree oxygen radicalは高血糖において増加を示した。 高血糖培養液に2mM GSH esterを添加し、48時間培養すると、embryoのGSH濃度は正常レベルにまで回復し、奇形の発生頻度を著明に減少させた。すなわち、高血糖による奇形の発生機序はfree radicalの産生の増加に対し、酸化的ストレスの防御機構として重要であるGSH合成機能が低下を示す事を明かとした。
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