研究概要 |
本研究では、グルカゴン分泌腫瘍細胞であるハムスター由来のIn-R1-G9細胞及びマウス由来のαTC clone6細胞を用いて、膵A細胞におけるインスリン受容体の存在を検討した。In-R1-G9細胞及びαTC clone6細胞による培養液中へのグルカゴン分泌は、インスリン添加により濃度依存性に抑制され、[^<125>I]インスリン結合実験によりインスリン受容体数はIn-R1-G9細胞で約21000sites/cell、αTC clone6細胞で約22000sites/cellと推定された。インスリン受容体mRNAの検討では、インスリン受容体cDNAをプローブとしたノザンブロット法においてインスリン受容体mRNAを認めた。また,インスリン受容体遺伝子に特異的なプライマーを用いたRT-PCR法において予想した長さのフラグメントが増幅し、サブクローニング後、インスリン受容体の塩基配列を確認した。インスリン受容体蛋白の検討では、[^<35>S]メチオニンでラベルした細胞膜蛋白を抗インスリン受容体抗体にて免疫沈降し、SDS-PAGEにより、インスリン受容体のα、βサブユニットに相当する蛋白を確認した。インスリン受容体の自己リン酸化能の検討では、In-R1-G9細胞及びαTC clone6細胞において、インスリン刺激時にγ[^<32>P]ATPによりラベルされたインスリン受容体βサブユニットの自己リン酸化を認めた。 以上、グルカゴン分泌腫瘍細胞であるIn-R1-G9細胞及びαTC clone6細胞においてインスリン受容体の存在を証明し、インスリンによる膵A細胞グルカゴン分泌の制御が膵A細胞上のインスリン受容体を介した調節である可能性を示した。
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