ミトコンドリアDNA3243番塩基の変異を有するインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者において膵島細胞に対する自己抗体(ICA)を測定し更に遺伝的因子を解析する目的でHLA-DQA1及びDQ-B1遺伝子を検討した。対象はミトコンドリアDNA3243番塩基が(A→G)変異を起こした31例のNIDDM患者である。ICAを蛍光抗体法、HLA-DQ遺伝子はPCR-RFLP法により行った。HLAの対照者は糖尿病を有さない71例とした。その結果この変異を有する患者の42%(13/31)のNIDDM患者においてICAが陽性であることが判明した。このような例においてはHLA-DQA1 *0301が対照者に比べて有意に高頻度であった。 このような成績よりミトコンドリアDNA3243変異は高頻度に糖尿病を合併し、さらに自己抗体の産生に関係することが明らかとなった。またこの自己抗体の産生にはHLA遺伝子(HLA-DQA1*0301)の関与が考えられた。これらの成果は欧文誌に投稿中である。今後膵組織レベルでの病因との関係の検討を行っていく予定である。
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