研究概要 |
GVL(抗白血病)効果は,同一ドナーのリンパ球輸注(DLT=donorleukocyte transfusion)により骨髄移植後にも誘導でき,一部の移植後再発例に対し有効な治療法であることを明らかにした。さらにこのGVL効果担当T細胞は特定のTCRを有するクローン増殖したT細胞である可能性を示した。 1.DLTによるGVL効果の証明;移植後再発例2例に対しDLTを行い,CMLの1例はPh^1が消失し治癒生存中。ALLの1例は白血病細胞が1/3に減少しその後化学療法でCRに導入された。1例目は急性GVHDは認めず,2例目は急性GVHDを発症した。1例目はPh^1消失期に汎血球減少を認めその後ドナー造血が完全に回復した(論文投稿中)。 2.GVL効果担当T細胞の同定;一例目の再発時とPh^1消失時の抹消血単核球を用いTCRV_β領域のクロノタイプを比較検討したところ,V_β15陽性T細胞にGVL効果発現後検体にのみ,再発期に認められない明瞭なバンドが検出できた。 3.今後の課題;(1)DLTが有効な対象疾患と実施時期の検討。(2)GVL担当T細胞とGVHD担当T細胞のTCRの比較検討。(3)GVL効果担当T細胞の増殖とGVHD担当T細胞の抑制の研究。
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