研究課題/領域番号 |
06671100
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
朝長 万左男 長崎大学, 医学部, 教授 (40100854)
|
研究分担者 |
新川 詔夫 長崎大学, 医学部, 教授 (00111170)
雨森 龍彦 長崎大学, 医学部, 講師 (80167965)
|
キーワード | ゲノム刷り込み / t(8;21) / t(15;17) / t(9;22) / C分染法 / Ag-I染色法 |
研究概要 |
平成8年度までに、患者自身の未治療診断時の骨髄細胞を用いたmitogenを含まない短期培養にて染色体標本を作製し、その分析が可能であり、かつその両親からinformed consentを得て末梢血単核細胞のPHA添加3日間培養によるTリンパ球の染色体標本作製が可能であった症例は、t(8;21)^+AML-M2が7例、t(15;17)^+AML-M3が6例、t(9;22)^+CMLが5例となった。これらのうち、t(8;21)^+AML-M2においてはうち4例がAg-I染色により21q^+染色体が父母のいずれに由来するかが同定可能であり、その内訳は父親由来が1例、母親由来が3例。同様に、t(15;17)^+AML-M3においてはうち3例がAg-I染色により15q^+染色体の由来が同定可能であり、その内訳は父親由来が2例、母親由来が1例。t(9;22)^+CMLにおいてはC分染法により9q^+染色体の由来が同定可能であったものはうち2例で父親由来、母親由来が各1例。Ag-I染色により22q-染色体の由来が同定可能であったものは3例で、父親由来が1例、母親由来が2例であった。 C染色法およびAg-I染色法を用いたHaasらによる検討では、t(9;22)^+CMLおよびALL症例における9q^+染色体はいずれも父親に、22q-染色体はいずれも母親に由来すると報告された。しかしながら、その後の他施設からの遺伝子多型を用いた検討では、いずれもHaasらの報告を支持しない。今回のわれわれの検討でも、1例のt(9;22)^+CML症例において9q^+染色体が母親に、22q-染色体が父親に由来することが明らかとなった。さらにはt(8;21)^+AML-M2における21q^+染色体、t(15;17)^+AML-M3における15q^+染色体とも父母のいずれからも由来しうることが判明した。従ってこれらの結果は、上記の疾患における異常染色体の絡む遺伝子に関しては、ゲノム刷り込みの存在は否定的であることを示唆する。
|