ヒト多剤耐性白血病細胞株K562ADMを用いた基礎的研究を行なった。ヒト耐性遺伝子mdrlのループ領域およびイニシエーター領域におけるアンチセンスDNA、センスRNA、ランダムコントロールを作製、精製した。トランスフェクタムにアンチセンスDNAを導入し、K562ADMへの取り込みがどの程度あるかについて検討した。5'エンドラベリング法を行い検討すると、細胞内取り込み時間は4時間でピークとなり約50%の細胞に取り込まれることがわかった。アンチセンスDNAで処理したK562ADMの培養期間および添加するアンチセンスDNAの量についての検討をP糖蛋白に対するモノクローナル抗体を用いFlow cytometerで測定することにより行った。その結果、アンチセンスDNA、0.5-1uMを添加することによって、培養2日後にP糖蛋白陽性率の軽度の低下を認めた。アンチセンスDNA導入によるmdrl遺伝子の発現抑制の程度については現在Northern blot法で、P糖蛋白の程度についてはWestern blot法で確認中である。一層のP糖蛋白陽性率の低下をはかるため、アンチセンスDNAの細胞への添加方法、トランスフェクタムではなくリポゾームを用いる方法などについて現在検討中である。
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