研究概要 |
骨髄異形成症候群(MDS)リンパ球に対するインターロイキン12(IL-12)の効果を検討し以下の結果を得た。 (1)最初に、リンパ球をIL-12あるいはインターロイキン2(IL-2)と共に16時間液体培養し、natural killer(NK)細胞を介した抗腫瘍活性を検討した。正常者の抗腫瘍活性はIL-12単独で増強され、IL-2の共存でいっそうの活性増強が惹起された。一方、MDS患者における反応は症例間で異なっており、正常者と同様の活性増強がおこるもの(Type A)、IL-12単独では活性が増強されずIL-12とIL-2の共存下でのみ活性増強が起こるもの(Type B)、いずれの場合も活性増強が見られないもの(Type C)、に分けられた。Type BやType Cの反応を示すMDS症例でも、リンパ球中のNK細胞比率は正常者と同等であり、NK細胞数以外の因子がこの異常に係わっていると考えられた。 (2)MDSの病型の中でも、refractory anemia(RA)では多くの症例が上記Type A反応を示したが、RA with excess blasts(RAEB)やRAEB in transformationの症例の多くはType BまたはType C反応を示した。 (3)IL-12は、単独あるいはIL-2との併用で、MDSリンパ球のinterferon-γ,tumor necrosis factor-αの産生を誘導した。 (4)正常者リンパ球をIL-12存在下に2-4日間培養すると、NK活性抵抗性の腫瘍細胞に対しても傷害活性を持つlymphokine-activated killer(LAK)活性が誘導された。IL-12で誘導されるMDS患者のLAK活性は症例間でかなり差があり、活性が検出されないものもあった。
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