ラット腎cDNAライブラリーより、PG受容体EP_3サブタイプの二つのアイソフォーム、TX受容体、TX合成酵素の各々cDNAを単離し、その機能、組織発現を調べ報告した。 1.EP_3受容体:カルボキシル末端の約30アミノ酸の異なるふたつのアイソフォームをクローニングし、その腎内発現が髄質遠位尿細管に局在していることをin situハイブリダイゼションおよびRT-PCR法にて示した。一方、SV40 Large-T抗原によるトランスジェニック・マウスの腎尿細管細胞より、不死化した細胞株を樹立し、この細胞では、バゾプレシン受容体の機能が発現していることを確認し、これらの受容体を介してcAMP生成がみられることを報告した。この細胞において、EP_3受容体のアイソフォームの機能特異性を検討すると、EP_<3A>受容体はバゾプレシンによるcAMP生成を抑制させるが、EP_<3B>受容体ではこの作用がないことを報告した。また、EP_<3B>受容体は、細胞内カルシウム情報伝達系とカップルしているがEP_<3A>ではカップルしていない事を報告した。 2.TX受容体およびTX合成酵素:いずれも、ラット腎よりクローニングし、その構造、機能および発現について国際学会にて発表している。また、腎では、いずれの因子も糸球体に局在していることをRT-PCRにて示し、TX系が腎糸球体においてオートクリン系を形成し重要な役割を担っている可能性について報告した。
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