1.桑原(代表者)は、ラット腎集合尿細管管腔側水チャネル(=バゾプレシン感受性水チャネル)機能のプロテインキナーゼAによる調節を検討した。アフリカツメガエル卵に水チャネルRNAを注入し、水チャネルを発現させて検討した結果、プロテインキナーゼAが水チャネルを刺激することを見い出した。この成果はJ.Biol.Chem.誌に投稿し、近々採択される見通しである。なお、この実験は、当初平成7年度に行う予定であったが、パイロット実験で興味ある結果が得られたので、平成6年度に施行した。 2.当研究室の石橋賢一助手が、ラットの腎集合尿細管側底側水チャネルを世界に先駆けてクローニングしてProc.Natl.Acad.Sci.USA誌に論文を発表した。このチャネルは、水のみならず尿素やグリセロールといった小分子量の物質をも輸送することが判明し、水チャネルファミリイの中でもユニークな性質を有している。桑原は水透過性測定の実験を行うとともに、論文をまとめるにあったて有益な示唆を与えたので共著者となった。 3.当研究室の伏見清秀助手が、ラット腎集合尿細管管腔側水チャネルについての検討を行い、尿素に対する透過性のないことを示すとともに細胞内の局在を明らかにした。桑原は水透過性測定の実験などを行うとともに、論文(Am.J.Physiol.に掲載)をまとめるにあたって有益な示唆を与えたので共著者となった。 4.当研究室の大学院生である 偉傑が、ウサギ腎集合尿細管細胞の細胞容積調節機序についての検討を行った。その結果、主たる細胞容積機序が管腔側膜ではなく側底側膜に存在することやバゾプレシンによって影響を受けないことから、水の移動に側底側水チャネルが関与することが示唆された。桑原はこの実験計画を立案して著者と実験を行い、論文(Jpn.J.Physiol.に掲載予定)をまとめるにあたって有益な示唆を与えたので共著者となった。
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