研究概要 |
streptozotocinを投与して糖尿病を誘発したラットの腎組織を経時的に採取し,マクロファージの浸潤とICAM-1の発現を検討したところ、糸球体内のICAM-1の発現の亢進と、マクロファージの浸潤を認めた。インスリン投与によりICAM-1の発現は正常化しマクロファージの浸潤も抑制された。糖尿病性腎症におけるマクロファージの浸潤にはICAM-1が関与していると考えられた。 セレクチンをヒトの腎生検組織でその発現を検討したところ、P-セレクチン、E-セレクチンが糸球体内、及び間質の血管壁に発現しており、これらの腎疾患において腎組織への白血球浸潤にセレクチンが関与していることが示唆された。 さらにL-セレクチンIg Gキメラ分子(LEC-IgG)を用いてラット腎組織におけるL-セレクチンリガンドの分布を検討したところ遠位尿細管上皮細胞に分布した。尿管結紮を行うと遠位尿細管におけるLEC-IgGの反応性は低下し、間質の血管において強い反応が認めらるとともに、間質に著明な単核球の浸潤が認められた。またスルファチドや抗L-セレクチン抗体を投与することにより間質への単核球の浸潤が抑制され、尿管結紮モデルでL-セレクチンを介した接着が単核球の浸潤に重要であると考えられた。
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