研究概要 |
平成7年度は,透析患者におけるエリスロポエチン誘発型の高血圧に対する抗血小板薬の降圧効果をNOとの関連で検討予定であったが,若干その検討が遅れている.従って,in vitroの検討が主となった. 基礎的研究 我々は透析患者におけるエリスロポエチンの昇圧機序検討の一環として、抗血小板薬がエリスロポエチンによる高血圧に有効との結果を得ている.その機序を検討して,抗血小板薬のdipyridamole (European J. Pharmacol, in press)はIL-1β刺激によるNO産生を増強し,iNOSの発現を増強することを培養血管平滑筋細胞で確認している.機序に関しては,cAMP分解酵素であるcAMPホスジェステラーゼ活性を阻害し,細胞内cAMP含量を増加することによりNO産生を増強することが明らかとなった.ただし,dipyridamleのNO産生増強作用はサイトカインのIL-1βが存在してはじめて発揮されることであり,透析患者では血中サイトカインが増加していることを考えると抗血小板薬がNO産生を介して降圧的に作用しても矛盾はない.また,ticlopidineに関しては現在検討中であるが,dipyridamole同様サイトカイン存在下でNOの産生を増強していることが明らかとなった.現在その機序に関して検討中である.
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