腎皮質集合尿細管(CCD ; cortical collecting duct)が腎におけるK代謝に重要な役割を演じていることは、周知の事実であり、in vitro clearance study、in vivo micropuncture、in vitro microperfusionなどにより確認されている。 CCDにおけるK輸送の調節は、体液因子としてはAldosteroneが重要な役割を演じているが、他にも管腔内液流量が重要であることは知られている。我々は、これらの調節系の他にも、調節因子があると考え、isolated tubular microperfusion法を用いて幾つかの検討を加えた。 1)浴液のpHを重炭酸濃度を25から5mEq/Lに減ずることにより7.4から6.8へと酸性化すると、CCDにおけるK分泌能力は著明に低下し、その機序として、Na-K ATPase依存性の抑制と非依存性の部分があること、K-Channel依存性と非依存性経路があること、重炭酸イオンの濃度変化には直接関係せず、pH自身の変化に寄ること、Na再吸収とは直接関係しないことなどを明らかにし、報告した。 2)上記実験中に、抑制から重炭酸イオンを除去するとK分泌量が増加することを認め、その機序を解明するために、細胞内pHを測定したところ、重炭酸イオン存在下では、細胞内pHが7.2前後であるのに対し、重炭酸イオンを除去し、HEPES bufferに変換すると細胞内pHは7.6前後へとアルカリ化することを明かにした。このことは、細胞内PhがK輸送に重要な役割を演じていることを示唆していた。 3)in vivoでは、CCD直前に接合尿細管(CNT)があり、この部分でのK分泌量はCCDと比べかなり多く、管腔内K濃度でみるならば、管腔内潅流液流速を10nl/minにした状態でも、潅流液K濃度は5.0mEq.Lから尿細管0.5mmでも8-10mEq/Lにも上昇する。CNTの長さは皮質部と髄質部で異なるものの、0.5-1.0mmはあり、このことから考えると、CCDにいたる管腔内液は10-15mEq/L前後になると考えられる。血管側K濃度を変化させてのK分泌の変化について検討したところ、CCDでの管腔内電位(VT)は過分極し、K輸送量(JK)も変化することが明かとなった。
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