腎障害におけるフリーラジカル生成とその制御

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06671153
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 帝京大学
• 研究代表者: 長瀬 光昌 帝京大学, 医学部, 教授 (00010124)
• 研究分担者: 松井 克之 帝京大学, 医学部, 助手 (20256027) ; 中村 一路 帝京大学, 医学部, 助教授 (70082146)
• キーワード: 活性酸素 / 腎障害 / スカベンジャー / SOD / マクロファージ / 好中球

研究概要

糸球体障害時の活性酸素reactive oxygen species(ROS)産生を分離糸球体にてルミノール依存性の化学発光法chemiluminescence(CL)を用いて見た。ROSは腎障害の重要なメヂエーターの一つであるが、この方法により病態腎よりのラジカル産生を直接知ることができ、ROSのスカベンジャーの治療効果が期待される。促進型馬杉腎炎では抗体静注1日後に腎糸球体への好中球の浸潤に併せて糸球体CLは対照時の10倍以上に増加してピークを示し、以後のマクロファージ浸潤時にも高値が持続した。すなわち馬杉腎炎では好中球、マクロファージなど高いROS産生能のある浸潤細胞よりのラジカルが組織障害性に作用している可能性が考えられ、好中球浸潤時期に併せてSOD、Catalaseなどのスカベンジャーの投与により蛋白尿などの組織障害所見は軽減した。
一方糸球体に細胞浸潤のないアドリアマイシンネフローゼやアミノヌクレオシドネフローゼでも特に注射7日目に糸球体CLの高まりが認められ、糸球体固有細胞にも程度は軽いがROS産生能があることが認められた。アドリアマイシンネフローゼでは、SOD mimicの投与が、またアミノヌクレオシドネフローゼではdipyridamole、dilazepの治療により蛋白尿減少効果が認められた。アミノヌクレオシドネフローゼラットの糸球体懸濁液に、抗蛋白尿効果のあるdipyridamoleやdilazepを加えると、濃度依存性に糸球体CL抑制効果が認められ、このようにこの病態では試験官内での糸球体CL抑制効果をみることより治療効果を予測出来る可能性が考えられた。

研究成果

• [文献書誌] H.Ito C.Nouto,Y Suzuki,K.Nakamura M.Nagase: "Post-prandial triglyceride-rich lipoprotein metabolism.possible role of sialilated apolepoprolein E isoproteins" European Journal of Clinical Investigation. 24. 468-475 (1994)
• [文献書誌] S.Kobayashi M.Nagase S.Nidaka T Arai: "Membranous nephropathy associated with hypocomplementemic usticarial vasculitis:Report of two cases and a review of the literature" Nephron. 66. 1-7 (1994)
• [文献書誌] M.Chimata H.Masaoka M.Fujimaki N.Hamada M.Nagase: "Low serum aminotransferase activity in patients undergoing regular hemadislysis" Japanese Journal of Nephrology. 36. 389-395 (1994)
• [文献書誌] N.Ikegaya, M.Nagase N.Honda, H.Kumagai,A.Nisida: "Corelation between histologie features and glomerular permeability in membranous nephropathy and immunoglobulin A nephropathy" Journal of Laboratory and Clinical Medicine. 123. 94-101 (1994)
• [文献書誌] 長瀬 光昌.中村 一路.角田 祥子: "SODによる治療" 腎と透析. 36. 277-283 (1994)
• [文献書誌] 長瀬 光昌: "肝硬変にみられる腎障害" 日本醫事新報. 3688. 6-11 (1994)
• [文献書誌] H Ito,M.Chimata M.Nagase: "Nugato Symposuin of Nephrology 1994 Current Topies of glomerulan Mesangial cells" Verification of LDL receptors in cultured rat mesangial cells, 39-49 (1994)