今年度は我々がクローニングしたヒトSMP30を規定するcDNAを用いて組換え蛋白を作製した。ヒトSMP30cDNA(pHSMP6)を大腸菌発現ベクターpET22bに組み込み大腸菌BL21に遺伝子移入を行なった。IPTGを大腸菌培養液に加え組換え蛋白を発現させた。組換え蛋白の分子量は24kDaであり用いたcDNAから推定されるものと一致した。次に組換え蛋白を可溶化して家兎に免疫し抗体を得た。この抗体を用いて正常の腎組織を免疫染色したところ、ヒトの腎尿細管では遠位尿細管に陽性所見が認められた。この結果はラットの腎組織を用いた場合に近位尿細管が染色されるという現象とは異なり興味ある所見である。このSMP30は細胞内カルシウムの移動・代謝に関与しておりヒトではカルシウム代謝が最も活発な部位は遠位尿細管である事実に対応する所見である。また今回作製した抗体はWestern hybridizationに用いるには適当な抗体であった。今回作製した組換え蛋白はアミノ末端にpelBリーダー配列を付加しており容易に可溶化が可能であった。この可溶化蛋白とヒトSMP30に対するモノクローナル抗体を用いてELISA法による微量定量法を開発している。今年度はヒトSMP30組換え蛋白及びその抗体の作製を行ない良好な結果を得たので来年度は疾患の解析に応用したいと考えている。
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