平成6年の研究目的は、a)アルポート症候群におけるIV型コラーゲンα鎖遺伝子の突然変異の検索と、b)IV型コラーゲンα5鎖遺伝子(COL4A5)のスプライシング異常の解析のふたつである。 1)連鎖解析による我が国のアルポート症候群の遺伝形式の検討 我が国のアルポート症候群11家族において、DNAマーカーを用いた連鎖解析の結果、10家族が疾病の伴性優生遺伝を示した。1家族は判定不能であった。また全患者の約1割に新しい突然変異によると思われる狐発例を認めた。 2)IV型コラーゲンα5鎖遺伝子(COL4A5)の突然変異の検索 COL4A5はエクソンが51個あるため、スクリーニングとしてPCR-SSCP法を採用した。アルポート症候群60例において、COL4A5の約5割の検索を終了し、我が国のアルポート症候群は、欧米諸国の患者に比べると点突然変異、数塩基挿入や欠失などの小さな変異が多いことが判明した。この特徴(genotype)は我が国のアルポート症候群の臨床症(phenotype)にも関連していた。 3)IV型コラーゲンα6鎖遺伝子(COL4A6)の突然変異の検索 最近新しく発見されたCOL4A6は、COL4A5に隣接してXq22に存在し、IV型コラーゲンα6鎖はIV型コラーゲンα鎖のひとつのisoformである。以上の理由からCOL4A5と同様にアルポート症候群のもうひとつの原因遺伝子である可能性を検討するため、男性患者20例についてCOL4A6のcDNAの塩基配列を検索したが、突然変異は同定されなかった。 IV型コラーゲンα5鎖遺伝子(COL4A5)のスプライシング異常の解析 抹消白血球由来のRNAにおいて確認したCOL4A5のaltrnative splicingは、3′側のエクソン49および50がそれぞれスキップする二つである。正常腎組織においても同様のalternative splicingが生じていることを明らかにした。現在COL4A5のこれらふたつのalternative splicingの臓器特異性や年齢別、性別のalternativityを検討している段階である。
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