研究概要 |
仮死児における細胞毒性の発生機序としてsuperoxideなどのフリーラジカルの関与が報告されている。これらのフリーラジカルからの防御機構としてMn-SODは重要な働きを持つと推測される。平成6年度は、1.胎児期から新生児期のラット脳内におけるMn-SODの発現時期と部位.2.低酸素負荷、虚血負荷がこれらの発現に与える影響.について研究してきた。 ラット脳内におけるMn-SODの発現に関する検討 (1)胎齢18,20日及び生後1,3,7,14日目のラットから大脳及び小脳を摘出して、Northern Blotting法によってMn-SODmRNAの発現を検討した。Mn-SODmRNAは胎児期より発現し、新生児期を通じて増加傾向を示した。 (2)所定の日齢のラット脳を4%パラホルムアルデヒドによって灌流固定し免疫組織染色を用いてMn-SODの発現の局在部位を検討した。生後早期には、海馬CA3領域にMn-SOD陽性細胞の豊富な出現が見られた。この部位は虚血に対する感受性が高い領域であり、その意義が注目された。 新生児仮死がMn-SODの発現に与える影響についての検討 生後7日目のラットの左頸動脈を結紮し、その後8%酸素下にて2時間飼育して新生児仮死モデルを作成した。負荷後、ラット脳におけるMn-SODの発現を経時的に測定したが、仮死モデルにおける脳障害の程度が必ずしも一様とならず、平成7年度も引き続き検討することとした。
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