研究課題/領域番号 |
06671172
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
中澤 誠 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10075567)
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研究分担者 |
森島 正恵 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00241068)
安井 寛 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60210241)
富田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40231451)
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キーワード | 心奇形 / マウス / レチノイン酸 / 完全大血管転換症 |
研究概要 |
背景 Jcl:ICRマウスを妊娠させ、その胎生8.5日目にレチノイン酸を投与すると胎仔の約80〜90%に完全大血管転換症が発生する。その半数が心室中隔欠損がないか、あるいは小さなパンチアウト型の心室中隔欠損を伴っていた。他の半数では流出路中隔が右側に偏位して、洞部筋性心室中隔と擦れを生じ、その擦れによる大きな心室中隔欠損(整合不全=malalign)を伴っていた。また、この擦れが極端な例では両大血管右室起始症となった。 方法と結果 11・13日目胎仔を全胚培養の要領で酸素化潅流液中に固定して、心臓部分を露出させ、実体顕微鏡に接続した高速度ビデオカメラにて撮影記録した。未だ中隔が形成されない時期から、非処置群では、原始右室から第6弓への血流と、その後ろで交差する原始左室から大動脈での血流が確認された。一方、レチノイン酸処置マウスでは、原始右室から大動脈への血流と、その後方でそれに並行に走行する原始左室から第6弓に向かう血流が確認された。更にこの処置マウスでは、大動脈へ向かう血流に二通りがあった。即ち、第一は大動脈へ向かう血流と第6弓へ向かう血流が全く分離したもの、第二は大動脈へ向かう血流は専ら原始右室から出るが、第6弓への血流が原始右室と原始左室から合わさって出るものであった。これらの胎仔では、本来洞部筋性中隔へ向かうはずの動脈幹および動脈幹隆起が右室方向を向いており、将来、整合不全(malalign)型心室中隔欠損ないし両大血管右室起始症となることが予測された。 心室機能を見る目的で、心外膜の面積とその収縮に伴う変化率を計測したところ、レチノイン酸処置マウスでは原始右室が小さく左室が大きかった。その左室の面積変化率(駆出率)は正常無処置マウスより大きく、小さな右室部分を代償している様子であった。
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