研究概要 |
発育期マウス脳の神経前駆細胞の大脳皮質への移動および定着に及ぼすマウスサイトメガロウイルス(MCMV)感染の影響を解析: 1)ICRマウスを交配させ、胎令14日目および胎令15日目に右側の子宮の胎仔脳室内にMCMV 2X10^3 PFUを、左側の子宮の胎仔脳室内にMEMを手術的に注入し、胎令15日目に5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU)25mg/Kg体重の割合に母親の腹腔内に投与し、胎令18日目に胎仔脳を固定し、大脳前額断で組織標本を作成した。MCMV投与胎仔脳はMEMを注入した対照群と比較して、側脳室の拡大、大脳皮質の菲薄化が認められ、BrdU標識細胞のcortical plate (CP)への移動が有意に抑制された。しかし、この時期においてウイルス抗原陽性細胞は側脳室内の脈絡叢内に目だち、脳室壁,internediate zone(IZ),CPには殆ど認めなかった。 2)胎令14日目あるいは15日目に同様にウイルスおよびMEMを投与し、胎令15日目の母親の腹腔内にBrdUを投与して生後まで生育させた哺乳マウスの脳を同様に解析した。生後7-9日目において、ウイルス抗原が認められる大脳皮質の部分において,BrdU標識細胞の大脳皮質表層から深層へのup-side downの移動が抑制される傾向を示した。
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