研究課題/領域番号 |
06671189
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
田沢 賢次 富山医科薬科大学, 医学部・第2外科, 助教授 (80018887)
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研究分担者 |
前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部・RI施設, 教務職員 (30143861)
本田 昴 富山医科薬科大学, 医学部・RI施設, 教授 (40019914)
勝山 新弥 富山医科薬科大学, 医学部・第2外科, 助手 (70242493)
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キーワード | アップルペクチン / AOM / 大腸癌発生 / 食物繊維 / 胆汁酸代謝 / 腸肝循環 / アゾキシメタン / シトラスペクチン |
研究概要 |
昨年、水溶性食物繊維であるアップルペクチンのAzoxymethane(以下AOM)誘発大腸の発癌に対する抑制効果を報告した。本年はその効果を便中胆汁酸濃度および胆汁酸代謝の面から検討した。 【対象と方法】A.ペクチンはアップルペクチン(以下AP)およびシトラスペクチン(以下CP)を用い、5週齢の雄ドンリュウラットを、1.対照群、2.基礎食に20%の割合でAPを添加した群(AP群)、および3.基礎食に20%の割合でCPを添加した群(CP群)の3群に分けた。大腸癌はAOM7.4mg/kgを背部皮下に週1回、連続10週間注射して誘発した。 AOM投与開始後30週で犠死解剖し、腫瘍発生率および個数を比較した。B.l.AOM投与開始後24週の糞便中胆汁酸を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。2.High methoxyl(HM)APおよびLow methoxyl(LM)APを与えたラットに_<14>C標識本(Glycocholic acid、[glycine-14C]-)10μCi(0.21μmol)経口投与し、経時的に尿、糞、血液、肝、腎をサンプリングした。 【結果】1.AP群において、腫瘍発生率およびラット一匹あたりの腫瘍数の有意な減少が認められた。2.便中胆汁酸:対照群に対してAP群では総胆汁酸量の減少が見られ、特に一次胆汁酸量が有意に減少していた。2.胆汁酸代謝1)血液:対照群が減少傾向にあるが、HM-AP群、LM-AP群では24、48hrで変化がなかった。48hr以内に吸収される総量はAP群で増加していた。2)糞:HM-AP群では24hr以内に排泄される量が他の群よりも低かった。3)肝:48hrでLM-AP群が他の群に比し多く集積していた。 【考察】アップルペクチン群では他の群に比べ血中放射能濃度が高く、肝・腎に多く集積し尿、糞への排泄が減少していた。アップルペクチン食により胆汁酸の吸収が増加し、腸肝循環の割合が増えることで糞への排泄が減少し、このことが大腸癌抑制の一要因として考えられた。
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