研究概要 |
生体電気インピーダンスが下肢骨格筋虚血再潅流障害の程度を評価可能か否かを検討した。雑種成犬を用い小児科駆血帯により両側鼠径部を1000mmHgの圧で緊縛し両後肢の虚血を行った。緊縛時間は6、10時間、緊縛を解除、再灌流後5時間にわたり観察し以下の知見を得た。 1、緊縛解除後カリウム,COK,GOT,ALDの急激な上昇、pH,BEの急激な低下を認め全例死亡した。したがって本モデルが下肢骨格筋虚血再灌流障害を生ずることが示された。 2、生体電気インピーダンス測定 1)1KHzにおける虚血前抵抗率は628±143Ω.cmであった。以後漸減し虚血6時間後には6時間虚血群、10時間虚血群でそれぞれ489±61、470±81Ω.cmであった。10時間虚血群の再灌流直前の抵抗率は470±81Ω.cmであった。2)緊縛解除後抵抗率は急激に低下し15分後には6時間虚血群、10時間虚血群でそれぞれ378±10,328±79Ω.cmであった。以後漸減し、再灌流5時間後ではそれぞれ298±38、266±55Ω.cmであった。3)CPK値は虚血前値は平均223±93IU/Lで、再灌流直前は6時間虚血群,10時間虚血群でそれぞれ1063±745、500±98IU/1であった。再灌流5時間後には16726±6954、32500±20177 IU/1と上昇した。4)再灌流直後より15分間の抵抗率の変化量と、5時間後のCPK値はR^2=0.729,P<0.05と正の相関を示した。 したがって局所をモニターする本法は虚血再灌流障害を定量化し、早期診断、予後予測に応用できる可能性が示唆された。
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