Macrophage Coloby stimulating factor(M-CSF)は単球の産生と成熟、単球の機能を刺激する因子として発見された。その後の研究から好中球、血小板の産生刺激作用、好真菌作用、殺腫瘍細胞作用、絨毛細胞分化誘導作用、コレステロール低下作用、動脈硬化抑制作用、破骨細胞分化成熟作用などの多彩な機能を有することが明らかとなってきているが、M-CSFの作用メカニズムについては不明の点も多い。M-CSFは既に臨床応用がなされているが、骨髄移植症例におけるtrialでは、早期の死亡率の減少、生着率不全率の改善効果を認め、何らかの免疫系に対する抑制作用も想定されている。M-CSFの生理作用をさらに検討し、新たな臨床応用を探る目的で研究を行った。 炎症性サイトカインであるTNF(腫瘍壊死因子)産生に関しては、これまでin vivo、in vitroにおいてマクロファージからのTNFの産生を促進するとの報告が散見されるが、今回我々は、マウスのendotoxin shock modeにおいて、high dose M-CSFの投与によりTNFの産生が強く抑制されるという新しい知見を得た。一方、臓器移植拒絶反応にはTNFが関与しているとの報告が多くみられる。TNFの産生を制御することで、移植臓器の生着の改善を期待して、皮膚移植モデルを用いて研究を行い、拒絶反応の制御を得ることが可能であった。
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