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1996 年度 実績報告書

消化器癌の生体材料を用いたDNA診断とそれに基づいた腹腔鏡下手術と化学療法の選択

研究課題

研究課題/領域番号 06671207
研究機関広島大学

研究代表者

金 隆史  広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (80274132)

研究分担者 青儀 健二郎  広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (50284196)
キーワードFISH / 胃癌 / P53
研究概要

FISHによるヒト胃癌の悪性度評価および臨床への応用を目的として,胃生検標本59例の第1、7、11、17番染色体数的異常,およびDual-color FISH法によるsm胃癌切除例20例の第大17番染色体とp53遺伝子の数的異常を同時に解析し,以下の結果を得た。
1.胃生検標本に対してFISH法が可能であり,第1、7、11、17番染色体解析では,胃癌近傍正常組織には,monosomyおよびpolysomyを示す細胞割合の増加は認めず,染色体の数的変化は認めなかった.
2.第1、7、11番染色体におけるmonosomy,および第1、7、11、17番染色体におけるpolysomyを示す細胞の割合は,正常組織と癌組織の間で有意な差を認め(p<0.0005〜p<0.05),これらの染色体の数的異常が癌の発生進展に関与している可能性が示唆された.
3.手術例31例と臨床病理学的因子との比較検討では,リンパ節転移およびリンパ管浸潤は第7番,11番,17番染色体のpolypoid症例に有意に多く認められ(p<0.005〜p<0.05),腹膜転移は第1番および11番染色体のaneuploid症例(各p<0.01、p<0.05),静脈浸潤は第17番染色体のpolyploid症例に多く認められた(p<0.01).このことから特定染色体の数的異常が胃癌の浸潤進展に関与している可能性が示唆された.
4.p53遺伝子の欠失を示す細胞の割合はsm胃癌でコントロールに比較し有意な増加を認めた(p<0.0005),さらにリンパ節転移陽性が陰性に比較し有意な増加を認めた(p<0.005).胃癌細胞のリンパ節転移にはp53欠失細胞の存在が深く関与している可能性が示唆された.
以上の結果から,胃生検組織を対象とした第17番染色体,p53遺伝子および他の遺伝子に対するFISH法解析をすることによる前癌病変の悪性度評価,術前でm、sm胃癌と診断された症例における悪性度判定,特にリンパ節転移の有無の術前判定へ臨床応用の可能性が示された.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 平林直樹: "胃生検組織を用いたFISH法による染色体異常の検出" 消化器癌. 4. 435-439 (1994)

  • [文献書誌] 入江秀明: "Fluorescence in situ hybridization (FISH)法を用いた胃がん悪性度評価と臨床応用に関する基礎的検討" 広大医誌. 44. 1-13 (1996)

  • [文献書誌] 入江秀明: "Fluorescence in situ hybridization法による胃癌悪性度評価の検討" 日本消化器外科学会雑誌. 29. 1734-1740 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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