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1994 年度 実績報告書

甲状腺疾患におけるTSH receptor mRNAとTSH反応性-in situ hybridization法による-

研究課題

研究課題/領域番号 06671208
研究機関徳島大学

研究代表者

井上 洋行  徳島大学, 医学部, 助手 (80253186)

研究分担者 門田 康正  徳島大学, 医学部, 教授 (60028628)
駒木 幹正  徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (60215382)
キーワードTHSレセプター / in situ hybridization / 甲状腺癌 / mRNA
研究概要

目的:TSHは甲状腺に特異的に作用し、甲状腺ホルモン、甲状腺細胞増殖を調節している。またこのTSHが甲状腺細胞に作用するには甲状腺細胞膜上のTSHレセプターが必要である。TSHが甲状腺細胞の増殖を調整している事を利用して、臨床的には甲状腺乳頭癌の術後療法としてTSH抑制療法が行われる事がある。ところが甲状腺細胞が腫瘍性変化をきたした場合も、TSHは正常と同様の役割をはたしているのか、TSHレセプター(TSH-R)は正常と同様に発現しているのか、明確な結論は得られていない。そこで我々は正常甲状腺と甲状腺腫瘍を使って、TSH-R mRNAの発現状態をin situ hybridization方を用いて検索した。
対象と方法:対象は手術にて得られた乳頭癌9例、腺腫8例、および各々の症例の正常甲状腺17例である。TSHレセプターのcDNAよりoligonucleotide probeを作成し、digoxigeninにてラベルし使用した。PFA固定凍結標本を用いin situ hybridization法にてTSH-R mRNAを検出した。また実験に用いたoligonucleotide probeの特異性はNorthern blotting法を用いて確認した。
結果:1.Northern blotting;正常甲状腺、正常乳腺、正常肺、正常肝を用いて検討した。作成したoligonucleotide probeは甲状腺にのみ特異的に反応し、そのバンドは4.3〜4.6k.b.に出現し、特異性が証明された。
2.in situ hybridization;細胞質に特異的に染色された。正常甲状腺では陽性染色はどの濾胞細胞も均一に出現し、陽性出現率は95.3±2.3%であった。腺腫では陽性染色は正常とほぼ同様に細胞によらず均一に出現し、陽性出現率は94.7±2.3%であった。ところが乳頭癌では9例中4例は正常とほぼ同様に均一に出現したが、残り5例は細胞間で陽性染色の出現が不均一であった。全乳頭癌での陽性出現率は81.9±12.6%であり、これは腺腫と比較して有意に低かった。このTSH-R mRNAの発現レベルが乳頭癌で低いとの結果は、今までの諸家のNorthern blottingを使った検討でも報告されているが、同一腫瘍内で発現レベルが個々の細胞によって違う結果は今回の検討ではじめて明らかになった。

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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