我々が開発した胆道癌短期誘発モデルにおける高率な胆道癌の発生には膵液の胆道内逆流とともに胆嚢十二指腸液の胆道内逆流が大きく関与していると考えられる。これは内瘻術をうけた合流異常例の胆道癌発生率が異常に高いことからも推察される。本年度までに研究発表してきたように、研究は当初に計画された以上の結果をもたらして進行しており、本実験により早期肝内胆管癌の発生機序が明らかになりつつある。即ち、本実験モデルにて発生した早期病変より我々は肝内胆管癌は(1)胆管増生巣より発生する型、(2)末梢胆管より硬化性病変として発生する型、(3)胆管内腔より乳頭状起隆病変として発生する型、(4)胆管壁の付属器腺より発生する4つの型に分類することができた。 今後は平成6年度で作製した胆道内膵液逆流モデルでできた肝外胆管癌の初期病変像を解析すると同時に、発生した胆道腫瘍ならびに前癌病巣における発癌遺伝子、抑制遺伝子等の発現性を検索し胆道癌の予防、早期発見、治療に結び付く基礎的データを収集する。皮下継代株ならびに細胞培養株を用いて、制癌剤およびCCKを中心とした消化管ホルモンに対する感受性を検討することを予定している。
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