ブタ-ヒト間臨床異種膵ラ島移植の実現を目指した研究モデルを確立することを目的とし、先ず従来より困難とされていたブタ膵ラ島の分離に着手し、分離法の確立を達成することができた。我々の確立した分離法ではブタ膵1gあたり約1300個のラ島が80%以上の純度で回収可能であった。さらに分離ラ島を静置培養し糖刺激によるインスリン分泌能を確認した。以上より高収量、高純度でViabilityの保たれたブタ膵ラ島の分離が可能となり、次の段階としてブタラ島とヒト血液成分を用いた培養系を確立し、異種ラ島移植のシュミレーションモデルとして研究をすすめた。分離ブタラ島にヒト血清(非働化したもの、非働化しないもの)を反応させラ島の障害度をインスリン分泌反応により評価した。コントロールとしてヒト血清の代わりに自己ブタ血清を用いた。非働化の有無にかかわらずヒト血清添加群ではコントロールに比してインスリン分泌反応は抑えられた。また非働化の有無で比較するとインスリン分泌反応に差はなく、ヒト血清によるブタラ島障害度はヒト補体の活性化以外の因子による影響が大きいものと推察された。
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